フューチャー・ゲーム

2002/05/17 東映第1試写室
ゲーム業界の裏側を舞台にしたフランスの青春映画。
ヒロイン役のカミーユ・ド・パズイがキュート。by K. Hattori

 ゲームフリークのトニーは、相棒リコと一緒に借金の取立屋というケチな仕事をしている。小銭には不自由しないが、しょせんはチンピラの暮らしだ。ある日警察と盛大なカーチェイスを演じたトニーは、あっさり逮捕されて刑務所へ。8ヶ月のムショ暮らしで彼が考えたのは、今までにない画期的なゲームのアイデアだった。出所してボスに独立を宣言したトニーは、昔の同級生2人に声をかけてゲームのデモ版を制作。業界大手のゲームスタート社に持ち込んで契約を迫ったが、やり手の女社長ヴァレリーに契約書のトリックでだまされ、せっかく作ったゲームの権利を盗まれてしまう。だがこれで引き下がるトニーではない。ゲームが盗まれたということは、彼のゲームクリエイターとしての能力が本物だった証明ではないか。トニーは再び仲間に声をかけ、8ヶ月のゲームショーでヴァレリーに復讐しようとするが……。

 ゲーム業界を目指す若者を主人公にした、ゲーム仕立ての青春映画。ストーリーの区切りごとにゲームの面クリアと同じような「LEVEL1」「LEVEL2」というタイトルが登場したり、カーチェイスや暴漢とのアクションシーンが突然レースゲームや対戦ゲーム風の画面になるという演出。アクションシーンをゲーム風に演出するアイデアには、『マトリックス』や『クリムゾン・リバー』などの先行事例がある。だがこの映画では登場人物が実写でゲームのキャラを演じるのではなく、登場人物も含めたすべてがCG化されて「ゲームのような現実」を観客の前に提示する仕掛けだ。こうすることで、パトカー十数台がクラッシュする大規模なカーチェイスも、仕事場でのド派手なアクションも、非常に低コストに実現できる。これはアイデア賞。一度使ったら二度は使えないアイデアなので、これは早い者勝ち。この映画では主人公がゲームフリークだという設定なので、こうした演出も比較的違和感なしに観客に受け入れられそうだ。

 主人公トニーを演じるのは『憎しみ』で映画デビューし、その後も『グッバイ・モロッコ』『スリー・キングス』『ナショナル7』などの映画に出演してるサイード・マグマウイ。憎まれ役の大手ゲーム会社社長を、アリエル・ドンバールが楽しそうに演じている。しかしこの映画で一番注目を集めそうなのは、主人公のガールフレンドでカンフーの達人であるニナを演じるカミーユ・ド・パズイかもしれない。彼女はモデル出身でこの映画がデビュー作だというが、リヴ・タイラーにも少し似たチャーミングなルックスで人気者になりそうだ。

 かつてはこうした業界裏話で、演劇やミュージカルなどの舞台劇がモチーフになり、その後は映画業界や音楽業界が舞台になる例が多かったように思う。この映画は決してデキのいい映画ではないが、ゲーム業界を舞台にしたバックステージものというのはいかにも今風。ゲーム制作の現場を、かなりリアルに映画の中に取り込んでいるので、ゲーム好きの人は共感できるかも。

(原題:GAMER)

2002年6月29日公開予定 新宿ジョイシネマ3
配給:ギャガ・コミュニケーションズ 宣伝:LIBERO

(上映時間:1時間38分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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