拳神
KENSHIN

2002/05/09 メディアボックス試写室
『風雲ストームライダーズ』のメンバーが作ったSF青春ドラマ。
物語はカンフー版『スター・ウォーズ』だったりする。by K. Hattori

 『風雲ストームライダーズ』のアンドリュー・ラウと、ハリウッドでアクション監督として活躍しているコリー・ユンが共同監督した、サイバーSFアクション青春ホームドラマ。映画の中にはいろいろな要素がぎっしり詰め込まれていて、盛りだくさんの特製幕の内弁当状態。要素はきれいに区分けされていて、見た目が派手で豪華なわりには、胃もたれしない軽い作品になっている。主演は『SPY_N』で藤原紀香と共演しているワン・リーホン。共演は『ジェネックス・コップ』シリーズのスティーブン・フォン。人気アイドルのジジ・リョン。『風雲ストームライダーズ』にも出演していたクリスティ・ヨン。『無問題2』の監督でもあるチン・カーロッ(ガーロウ)。大物のユン・ピョウとサモ・ハン・キンポーが重要な役で登場し、『ザ・ミッション/非情の掟』のロイ・チョンが悪役出演。人気者のイーキン・チェンが、あっと驚く役で出演しているのには笑った!

 21世紀半ば。主人公クァンと双子の姉ベルは、今は亡き父ウォンロイが創始した究極の拳法・神拳道の継承者だ。だが母ウィンは、子供たちがその拳法を稽古場の外で使うことを固く禁じていた。じつは政府に怨みを持つ地下政府の首領ジン21(へんな名前)が、神拳道の持つ究極のパワーを我が者にしようと狙っていたのだ。主人公たちの父ウォンロイは死んでおらず、ジンに捕らえられ、強い洗脳を受けて彼の手先になっていた。クァンとベルの存在を知ったジンは、ウォンロイを使ってベルを誘拐する。クァンはかつてジン21やウォンロイの同僚だったダーク刑事と協力し、姉を救出しようとジンの本拠地に向かうのだが……。

 人間の潜在能力を100%解放するというパワーグローブと、究極の拳法・神拳道の合体が生み出すスーパーパワーをめぐり、主人公クァンと悪の総帥ジン21が対決する物語だ。企画段階からかなり路線が二転三転したらしく、物語もかなり混乱している。大小さまざまなアイデアが、必要以上にたっぷりと盛り込まれているような気がするのだ。パワーグローブ争奪戦か、神拳道継承争いに物語を絞った方が、ドラマとしてはスッキリまとまっただろう。ただしこのアイデア過剰ぶりが、この映画の面白さの一部でもあるのだけれど。

 主要人物の配置は、そっくりそのまま『スター・ウォーズ』から借りている。クァンがルーク、姉のベルがレイア、ベルの恋人ティロンはハン・ソロ、姉弟の父フォンロイはダース・ベイダーで、ジン21が銀河皇帝、ダーク刑事はヨーダかオビワン・ケノービ。この映画の偉さは、引用元が『スター・ウォーズ』であることをまったく隠そうとしないところ。ユン・ピョウ演じるフォンロイは変なマスクを付けているし……。

 映画全編にCGが使われていて、作品のテイストとしては『風雲ストームライダーズ』のSF版といった感じ。大きな見どころというのもないけれど、肩の凝らない娯楽活劇映画としてそこそこ楽しめるはずです。

(原題:拳神 THE AVENGING FIST)

2002年6月1日公開予定 新宿ジョイシネマ
配給:マクザム

(上映時間:1時間37分)

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