キューティ・ブロンド

2002/04/30 シャンゼリゼ
リース・ウィザースプーンがハーバード大学法学部に進学するコメディ。
いつも前向きなヒロインの姿に思わずニコニコ。by K. Hattori

 アマンダ・ブラウンの同名小説を、オーストラリア人のロバート・ルケティック監督がリース・ウィザースプーン主演で映画化した異色の法廷映画。ヒロインのエルは、ロスのCULAでファッション販促を学ぶ女子大生。ブロンドの髪をなびかせて颯爽とキャンパスを歩く彼女は、学校中の人気者だ。ところがハーバードの法学部に進学するという恋人のワーナーは、あっさりと彼女を振ってしまう。「将来政治家になる僕に、金髪のグラマー娘は似合わない」というのが別れの理由。恋人を取り戻すため、エルは猛勉強して自分もハーバードに進学してしまう。ところが東海岸のお堅くお高い雰囲気は、西海岸育ちのエルにはどうも馴染めない。意地悪な教授陣や、陰険なイジメをする同級生たちからの風当たりには、楽天的なエルもちょっとめげる。でも恋人に相応しい女性になるためには、負けていられないのだ。エルは寸暇を惜しんで勉強し、とうとう教授を補佐してある殺人事件の裁判を手伝うまでになったのだが……。

 アメリカは身分や階級のない平等な社会が建前だが、そのじつ国政や経済を牛耳っているのはごく少数のエスタブリッシュメントたちだ。莫大な富と強大な権力が先祖から子孫へと世襲され、名門同士が徒党を組んで新参者の参加を許さない。この映画はハーバードの法学部という場所を、特権階級が支配するアメリカの縮図として描いている。映画の前半で観客たちを大笑いさせるのは、西海岸という別世界からやってきたエルが、旧弊な東海岸の保守的な名門大学の中で作り出すカルチャーギャップ・コメディの要素だ。まったく異質な文化が、溶けあうことなく同居することで生み出される笑いの数々。これに加えて、金髪でグラマーで派手なファッションセンスを見せつけるエルが、じつは努力家で純情でしかも頭がいいという見た目と中身のギャップも笑いを生み出すことになる。しかしこの映画がカルチャーギャップをネタに笑いを取るだけなら、それだけのことで終りでしょう。この映画が面白く、しかも観る人を感動させるのは、「がんばれば報われる」というきわめて健全なテーゼが、この映画の根っこを支えているからだと思う。

 周囲から有形無形の圧力にも耐えて、前向きにがんばるエル。やがて周囲には、そんな彼女のがんばりぶりを認めて応援してくれる人たちが現れる。それは若手弁護士のエメットであり、ネイルショップで働く中年女性ポーレットであったりする。それまで彼女の足を引っ張ろうとしていた人たちも、どんどん味方になってくれるようになる。よくあるパターンといえばそれまでだけど、これぞサクセスストーリーの黄金律。スポ根ドラマで、かつてのライバルが親友になるのと同じ仕組みです。

 裁判シーンがやや安直すぎるような気もするのだが、これは「エルが学校の中でがんばった!」という映画なので、こんなものでも構わないのかもしれない。ワーナーの婚約者ヴィヴィアン役で『キル・ミー・レイター』のセルマ・ブレアが出演。彼女の今後にも要注目。

(原題:LEGALLY BLONDE)

2002年4月27日公開 シャンゼリゼ他・全国洋画系
配給:20世紀フォックス

(上映時間:1時間36分)

ホームページ:http://www.foxjapan.com/movies/cutieblonde/

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輸入ビデオ:LEGALLY BLONDE
サントラCD:キューティ・ブロンド
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原作:キューティ・ブロンド(アマンダ・ブラウン)
原作洋書:Legally Blonde(Amanda Brown)
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