スパイダーマン

2002/04/18 日劇1
アメコミのヒーロー、スパイダーマンをサム・ライミが映画化。
ウィレム・デフォーの悪役ぶりは素晴らしい。by K. Hattori

 一度は完成披露試写が流れて「いつ完成するんだ!」とやきもきさせていた『スパイダーマン』が、とうとうお披露目されることになった。映画序盤は先日観た「特別映像」と同じなので、まったく新鮮味はない。しかし映画中盤で悪役のグリーン・ゴブリンが登場するあたりからは、アクションに次ぐアクションで一気呵成にラストまで突っ走っていく。これはなかなか面白い。この映画は既に続編の製作が決まっているそうで、この映画の中でも随所に次回作への布石が打ってある。僕は今から早々と、次回作を楽しみにしていたりするのだ。

 メガネの秀才だがイジメられっ子でもあるピーター・パーカーは、幼い頃に両親を亡くして今は伯父夫婦と暮らしている。校外授業で大学の研究室を見学中、遺伝子操作したクモに咬まれた。ピーターの体内に入り込んだクモの毒素は彼の遺伝子と融合し、超人的な体力と各種の超能力を身につけることになる。この能力を生かして素人飛び入りプロレスで賞金を稼ごうとしたピーターだったが、興業主にだまされて賞金を取り損なう。これに憤慨した彼は、目の前で事務所に強盗が入ったのをみすみす見逃すという意趣返しをすた。だが逃げ出した強盗は、通りでピーターの伯父を射殺して車で逃走。自分が犯罪を見逃したばかりに、愛する人を失ってしまったというショック。ピーターはこの日から、犯罪と戦うスパイダーマンとしてニューヨークを飛び回る。

 監督のサム・ライミは、メジャー進出第1作目に『ダークマン』というアメコミ風のヒーロー映画を撮っている。『キャプテン・スーパーマーケット』も片腕がチェーンソーというお馬鹿なヒーローが活躍する荒唐無稽なアクション・コメディだった。最近は『シンプル・プラン』や『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』などで格調高い文芸調ドラマを連発していたが、そもそもこの監督はB級のアクションドラマが大好きなのだ。今回はそんな監督の資質が、スパイダーマンという有名なヒーローと、コロンビア映画の大資本と結びついたのだから、ファンとしては期待せずにいられない。完成した映画はまずまず水準をクリアしていると思うけれど、『死霊のはらわた』『ダークマン』『キャプテン・スーパーマーケット』といった大バカ路線に比べると、既存のヒーローを使った分だけ少々保守的になっているかもしれない。

 今回の映画で面白かったのは、スパイダーマンことピーター・パーカーのキャラクターより、グリーン・ゴブリンに変身するノーマン・オズボーンの人物像だった。演じているウィレム・デフォーは、無垢で強靱な精神を持つ善人から、サディスティックでいかれた極悪人まで自由自在に演じる俳優。今回は彼の善悪両極端な芝居が、1本の映画の中で観られるという面白い趣向になっている。感謝祭のディナーをつまみ食いしたことをとがめられ、ピーターの叔母さんをギロリとにらむ目つきの狂暴さには、震え上がると同時につい笑ってしまうのだ。きっと本人も楽しんでいるんでしょうねぇ……。

(原題:SPIDER-MAN)

2002年5月11日公開 日劇1他・全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ 宣伝:マンハッタン・ピープル

(上映時間:2時間1分)

ホームページ:http://www.spider-man.jp/

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