ドメスティック・フィアー

2002/02/27 UIP試写室
子供を引き取った元妻が再婚した相手は冷酷な殺人犯だった。
ジョン・トラボルタ主演のサスペンス映画。by K. Hattori

 一度結婚したら離婚すべきでないとか、離婚するなんて子供が気の毒だといった第三者の親切な助言や忠告は、離婚を決めたカップルにとってあまり役に立たない。不幸な結婚を続けて苦しむよりは、離婚した方が多少はマシだろうと考える人は世の中に多いから、最近は日本でも年々離婚率が増加しているそうだ。子供のいる夫婦が離婚すれば、子供は両親のどちらかが引き取ることになる。日本でも海外でも、母親が子供を引き取るケースが多いようだ。子供と離れた父親は、定期的に子供に会うことが認められている。だが子供を引き取った母親が再婚すると、父親と子供の関係は微妙になってくる。

 サウスポートで小さな造船所を経営しているフランク・モリソンは、別れた妻と息子がいるバツイチ中年男。今は自分も元妻も新しい恋人と同棲しているが、12歳になる息子ダニーとは必ず週に1回は会う時間を作るようにしている。ところがダニーの母スーザンが、同棲中の恋人リックと再婚する。しかも彼女が早々に妊娠したことから、思春期のダニーは大きなショックを受けて部屋を飛び出す。ちょうどリックが用事で外出すると知って、リックの車の後部座席に身を潜めるダニー。だがリックの車は事務所に向かわず、途中のモーテルで見知らぬ男を拾う。リックはその男を車内で殺し、レンガ工場で死体もろともすべての証拠を焼き尽くす。一部始終を、ダニーに目撃されているとも知らないまま……。

 映画の主人公はジョン・トラボルタ演じるフランク。途中で少し説明的な描写が入るものの、原則として物語はフランクの視点を通して描かれていく。「母の結婚相手は人殺しだ」という息子の訴えを、まったくまともに取り合おうとしない警察。訴えられた張本人であるリックは当然戸惑った顔をするだけだし、母親も息子の主張を単なる嫌がらせぐらいにしか受け止めない。だが息子が自分に嘘をついているとは思えないフランクは、独自にリックの周辺を調べ始める。この映画で感心したのは、映画の最後に「別れた夫婦がよりを戻す」という安易なオチを持ってこないこと。フランクはあくまでも、自分の息子を守るために戦うのだ。愛する我が子を、ひょっとしたら殺人犯かもしれない男とひとつ屋根の下に置いておかなければならない恐怖。息子を手元に引き取ろうとしても、元妻は息子を奪われると考えて絶対にそれを承知しない。やむを得ず親権裁判を起こすフランク。このあたりの回りくどさは、じつに上手く描かれている。

 この映画の難点は、悪役であるリックの人物造形にある。おそらくこのリックという人物は、過去の犯罪歴からきっぱりと縁を切って、新しい土地でゼロから人生をやり直したいと願ったのだ。そのために地域にも大きな貢献をするし、離婚歴のある女性と結婚して家庭まで持とうとする。そこまではすべては順調だった。ところがそこに、自分の過去を知る男が現れた。これは『砂の器』みたいな話なのです。ところが演じているのがヴィンス・ヴォーンだと、あまり同情できないんだよなぁ。

(原題:Domestic Disturbance)

2002年4月上旬公開予定 日比谷映画他・全国東宝洋画系
配給:UIP

(上映時間:1時間29分)

ホームページ:http://www.uipjapan.com/domesticfear/index.htm

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