モンスターズ・インク

2002/01/17 ブエナビスタ試写室
ピクサー&ディズニー製作の3DCG長編アニメ最新作。
主役たちがかわいい。これもシリーズ化かな? by K. Hattori

 『バグズ・ライフ』『トイ・ストーリー2』に次ぐ、ピクサー・アニメーション・スタジオの最新作。過去3作を監督したジョン・ラセターは製作総指揮に退き、CFのアニメーターや監督としてキャリアを積んだピート・ドクターが監督している。行動監督は『トイ・ストーリー2』のリー・アンクリッチと、本作がデビュー作となるデヴィッド・シルバーマン。音楽はランディ・ニューマン。物語の舞台となっているのは、人間の世界のすぐ隣にあるのに人間には決してみることが出来ないモンスターたちの国〈モンスター・シティ〉。モンスター・シティ最大の企業が、シティ全体にエネルギーを供給するモンスターズ・インクだ。エネルギー源は人間の子供たちの悲鳴。特殊な装置で人間界に送り込まれた恐がらせ屋のモンスターたちは、子供部屋のクローゼットから子供の眠るベッドに突進するのだ。モンスターズ・インクの恐がらせ屋の中でも、常にトップの成績を誇るのが、この映画の主人公サリーとマイクのモンスターコンビ。ふたりの成績はライバルのランドールをまったく寄せ付けない。ところがある日、モンスター・シティ開闢以来の大事件が起きる。クローゼットのドアを通って、人間の子供が侵入したのだ。

 『トイ・ストーリー』シリーズ2作や『バグズ・ライフ』の魅力は、CGアニメとしてのクオリティ以上に、お話とキャラクターの魅力にあったと思う。今回の主人公サリーとマイクは、『トイ・ストーリー』のウッディやバズに負けない可愛らしさとたくましさを持っている。この「たくましさ」がすごく大事。彼らは目の前に何があっても、へこたれずにどんどん前に進んでいく。その奮闘ぶりに心から拍手と声援を送ることで、観客は彼らの冒険と一体化することができるのだ。この映画では、ピクサーの長編アニメとしては初めて“人間”が主要キャラクターとして登場するのも画期的。ブーという2歳ぐらいの女の子だけれど、これがまたじつにチャーミングなのだ。最初はトラブルメーカーとして登場するブーだけれど、映画を観ているうちに誰だってブーのことが大好きになる。守ってあげなくてはと思う。

 ブーがサリーのふかふかの毛にしがみつくシーンを見て、僕はこの映画が『となりのトトロ』と地下水脈で通じ合っていることに気づいた。ブーの原型は『トトロ』に登場するメイだと思う。父親や姉とはぐれてたったひとりでトトロの国に迷い込んで帰れなくなってしまった少女が、『モンスターズ・インク』のブーなのだ。

 モンスターズ・インクの心臓部に入り込む後半のアクションシーンは、ジェットコースターさながらのライド映像で迫力満点。映画は3Dデータだから、これを将来3D映画に作り直すことも可能だろう。ひょっとしたらこのライド映像は、将来的に映画を3D化することを見越してのものかもしれない。そんなことを想像すると、この映画にはやけに奥行きを強調した縦の構図が多かったかも。『モンスターズ・インク3D』が観てみたい。

(原題:MONSTERS, INC.)

2002年3月2日公開予定 丸の内ピカデリー2他・全国松竹東急系
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン) 宣伝:メイジャー

(上映時間:1時間32分)

ホームページ:http://www.disney.co.jp/movies/monstersinc/

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