情事
an affair

2001/12/12 GAGA試写室
イ・ジョンジェとイ・ミスク主演の不倫ドラマ。
演出もわかりやすくて好印象。by K. Hattori

 『イルマーレ』『Interview』『純愛譜』などの作品が日本でも公開されている韓国の売れっ子俳優、イ・ジョンジェ主演のラブストーリー。共演は『桑の葉』シリーズのイ・ミスクで、この作品が10年ぶりのカムバックになるのだという。監督は『純愛譜』のイ・ジェヨンで、この映画が長編デビュー作だという。僕は『純愛譜』をあまり面白いと思わなかったのだが、この『情事 an affair』は楽しく観ることができた。ただしヒロインの妹役で『GO』や『アクシデンタル・スパイ』のキム・ミンが出演しているのだが、これはあまり魅力がなかった。物語はあくまでも主人公ふたりにフォーカスして行き、他の人物の描き方はやや平板になっている。恋愛というのは理屈ではないから、あまり周囲の状況を細かく書き込んで「これこれの理由で彼女は恋に落ちました」「こんな事情があるから恋愛が生まれたのです」と説明しても意味がない。でも恋愛という事件が周囲に投げかける波紋や、周囲の人々の存在が主人公たちに与える影響を丁寧に描くためには、もう少し周辺人物への目配りが必要だったような気もするけれど……。

 物語はイ・ミスク演じるヒロイン、ソヒョンを中心に展開していく。彼女は裕福な建築家の夫と10歳の息子を持つ美しい人妻だ。夫との生活に不満はまったく持っていない。まずまず幸せな生活を送っていると言えるだろう。ある日彼女は、留学先のアメリカで知り合った男性と婚約したという妹ジヒョンからの連絡を受けて、婚約相手の男性イ・ウィンと会うことになる。ふたりは会った瞬間に互いに好意を持つ。新婚の住まいを探すためと称して、ふたりは何度か会うことになる。何度か目に会った別れ際、ウィンからの突然のキス。もう気持ちは抑えられない。やがてふたりは結ばれる。幾度かの逢瀬を重ねるふたりだが、幸せな時間は長くは続かない。ソヒョンは人妻であり、ウィンはその妹の婚約者なのだ。

 主人公ふたりは映画の最初に空港で出会っているのだが、それについてはソヒョンとウィンの間で触れられることはない。おそらくふたりとも忘れてしまったのだろう。最初に喫茶店で出会ったふたりは初対面ではなく「再会」だから、互いに最初から少しは親密な印象を持っていても不思議ではない。このあたりは、ふたりの恋愛を成立させる面白いアイデアだと思う。

 演出はかなり正攻法だ。「結婚の幸せとは?」と問われたソヒョンの夫が、女性の幸せを水槽の中で安楽に暮らす熱帯魚に例えると、その水槽の向こう側にソヒョンの姿が透けて見えるというわかりやすく印象的な演出。これが生きているから、最後にジヒョンが水槽をたたき割るシーンもスムーズに受け入れられる。音楽の使い方も巧み。「黒いオルフェ」(だったと思う)がテーマ曲として幾つかのバリエーションで登場するのも、最後は「ああ、なるほど!」と観客を納得させるだろう。イ・ミスクが綺麗に撮れているのが何よりのポイント。ラブシーンも多いが、あまりいやらしくならないのがいい。

(原題:情事)

2002年正月第2弾公開予定 シネ・リーブル池袋
配給:ギャガ・コミュニケーションズKシネマグループ
宣伝協力:スキップ

(上映時間:1時間47分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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