本当に若い娘

2001/10/18 映画美学校第2試写室
『ロマンスX』の原型とも言えるカトリーヌ・ブレイヤ監督のデビュー作。
女には自分の肉体さえあればそれでいいってことか。by K. Hattori

 『ロマンスX』で物議を醸したカトリーヌ・ブレイヤ監督が、今から25年前に撮った監督デビュー作。夏休みを家族と過ごす14歳の少女を主人公にした、ちょっと風変わりな青春映画のようなもの。ヒロインの少女のモノローグを使って、彼女の中にある妄想と現実の両方を綴っていくという構成は『ロマンスX』と同じ。男性との恋愛をひとつのモチーフにしつつも、最終的には恋愛よりもセックスを求めるというヒロインの割り切り方や、恋人となる男の結末まで含めて、まるっきり『ロマンスX』の原型となっている作品と言えるかもしれない。演出や編集に拙いところもあるけれど、やはりデビュー作にはその作家のすべてがあるという説は本当のようだ。

 もともとプロデューサーは「女性監督にポルノ映画を撮らせる」というコンセプトでこの映画を企画したようで、映画の中には性的なシーンが多い。ただしその描写は「少女の股間の大写し」のような単刀直入さだから、日本じゃボカシが入ってエロチックな意味を失ってしまう。正直言ってポルノ映画としてはあまりにも芸がなく、その芸のなさを補うためのサービス精神も欠如している作品だろう。これが『郵便屋』のティント・ブラス監督なら「ビーバーショット30連発!!」とかでボカシがあってもたっぷり笑わせてくれるんだけど、この映画は思わせぶりにちらちら見せて、いざという場面ではボカシが入っておしまいだからなぁ……。もっともこの映画はボカシがなくてもポルノとしては退屈なようで、それがプロデューサーとブレイヤ監督の対立を生んだようです。そりゃそうだろうなぁ……と僕も思う。

 この映画が描いているのは、思春期で急速に身体が成長し、自分の肉体の成熟ぶりを持てあましている少女の心理です。ヒロインのアリスは、自分の肉体が少女から女へと変化していくことに、どう対処していいのかわからない。彼女は興味深げに自分の身体をいじくり回す。それは「性欲」とか「恋愛願望」とは、ちょっと違うもののようにも見える。アリスにとって自分の大きな胸も、触れただけですぐに濡れてしまう性器も、すべてが「目新しい物」なのです。彼女は製材所にいる青年ジムと関係を持つため精一杯の誘惑をするけれど、それはアリスが自分一人では知ることのできないアリス自身の中にある何かを、ジムによって引き出してほしいという「興味」でしかないのではないだろうか。

 彼女はセックスがしたくてしょうがない。でもそれは「性欲」ではないと思うし「性への憧れ」というものでもない。アリスが求めているのは「自分の肉体が一体どうなっちゃってるのか?」という疑問への答えです。田舎町で退屈で死にそうになっているアリスは、退屈しのぎに自分の肉体をもてあそんでいるだけ。アリスは自分の性器をまさぐってみる。べとべとした穴に指を突っ込むのは、耳掃除と何も変わらないのだろう。

 アリス役のシャルロット・アレクサンドラが可愛い。美少女の放尿シーンが見たい人にはお勧めの映画。

(原題:Une Vraie Jeune Fille)

2001年11月中旬公開予定 シブヤ・シネマ・ソサエティ
配給:プレノンアッシュ

(上映時間:1時間33分)

ホームページ:http://www.prenomh.com/musume.html

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