Needing You

2001/09/21 映画美学校第2試写室
アンディ・ラウとサミー・チェン主演のラブコメディ。
サミーが演じたキンキーのキャラが最高。by K. Hattori

 人気スターのアンディ・ラウと、これが日本初登場となるサミー・チェンが主演したラブコメディ。サミー・チェンは香港の人気歌手で、女優としてはここ数年で一気に人気がブレイクしたらしい。たぶん今後も主演映画が次々と日本で紹介されるだろう……紹介されるといいな……紹介されると嬉しいぞ……。監督はプロデューサーとして『ロンゲストナイト』『ヒーロー・ネバー・ダイ』などの作品を送り出し、自身でも『ザ・ミッション/非情の掟』という大傑作を演出しているジョニー・トウ。今回は自作のパロディなども盛り込みつつ、正統派のラブコメディを軽いタッチで演出している。

 香港の商社で幹部社員として働くアンディは、仕事はばりばりこなすものの、バツイチで家族もなく、もっぱらホテルを自室がわりに生活している。そんな彼のもとに、キンキーという女性社員が配属されてくる。彼女は社内の他部署でさまざまなトラブルを起こしており、回り回ってアンディの部署にやってきたのだ。なぜ彼女がトラブルメーカーになるのか、その理由はすぐにわかる。気分屋で癇癪持ち。小さな事件にすぐ動転してパニックを起こす。仕事の要領が悪いくせに、他人から仕事を押しつけられても嫌と言えないところがあって仕事をため込んでしまう。しかもこの人事移動の直後、キンキーは恋人に振られて仕事がまったく手に付かない。アンディは厄介な部下を持ったと最初うんざりするが、徐々に彼女の一途さに興味を持って、彼女を応援してやりたいと考えるようになる。そんな興味は、やがて恋に変わる。

 女たらしのハンサム男がさして美人でもない女性と知り合い、最初は双方共に相手に反発を感じながらも、やがて少しずつその人間性に惹かれていく。こんなありきたりの話が、今までに何千回映画化されているんだろうか。話の筋立てそのものは新鮮味がないし、陳腐きわまりないと言ってもいいだろう。しかしこの映画には、既出のラブコメにはない面白さがある。それはヒロインであるキンキーの特異なキャラクターだ。彼女は「美人じゃないけど性格が抜群にいい」とか、「男性からは見向きもされないけれど同性の友人からは頼りにされる」という今までのヒロイン像と一線を画している。美人じゃないから男性の目も引かないが、かといって女性にも好かれない。行動はいつも鈍くさくてのろまなくせに、感情のままに行動する時は後先考えずに猪突猛進。気が動転すると周囲の迷惑も顧みずに自分のペースで行動し始め、それについて何も反省することがない。

 映画を観る人の多くは、最初彼女を見た時に戸惑い、あまり好印象を持たないと思う。でもこうした彼女の問題行動が、彼女自身の恋愛に対するコンプレックスによるものだということが少しずつわかってくる。彼女は本当はすごくきれいだし、頭も悪くないし仕事もできる。でも恋愛でトラブルが生じると、生活全体がちぐはぐになる。これはアンディの側も同じ。つまりふたりは、最初からとても似たもの同士なのです。

(原題:孤男寡女 Needing You...)

2001年11月10日公開予定 シネマカリテ、渋谷シネパレス
配給:グルーヴコーポレーション 
宣伝:LIBERO 配給協力:アースライズ

(上映時間:1時間44分)

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