ビューティフル

2001/09/18 メディアボックス試写室
ミニー・ドライヴァーがミスコンの女王を目指す。
サリー・フィールドの監督デビュー作。by K. Hattori

 ミニー・ドライヴァーはブスである。こう断言してしまうと「そんなことない! ミニーは素敵だ!」と反論する人がいるかもしれないが、素敵であることと美人不美人とはまったく異なる評価ベクトルだから、素敵であってなおかつブスであることは何ら矛盾しない。ミニー・ドライヴァーは間違いなくブスだし、彼女がブスであるという事実を前提にしないと、この『ビューティフル』という映画の面白さは成立しない。

 この映画でミニー・ドライヴァーは、ミスコンの女王を目指す若い女性を演じている。彼女がミスコンに出場なんて何かの冗談? サンドラ・ブロックがミスコンに出場する『デンジャラス・ビューティー』はまだわかる。でもミニーじゃねぇ……。しかしこれは、ブスのミニー・ドライヴァーだからこそ生きてくる設定だし物語なのだ。最近のミスコンは「個性派美女の時代」だから、彼女のような容姿でも優勝できる可能性がゼロじゃない。女性は外見じゃなくて、内面勝負なのです。でもさして美人でもない女の子がミスコンで勝利するには、周囲のライバルを蹴落とし、審査員にゴマをすり、時には女性であることを武器にしてはい上がっていくしかない。

 貧しい家庭に生まれ、両親の愛情に恵まれなかったモナの夢は、ミスコンの女王になって世界中の称賛を浴びること。そのためだったら、どんな泥をかぶってもいい。バイトで金を貯めて歯を矯正し、田舎町のモデルスクールに通い、ライバルを悪らつな手段で蹴落としていく。モナはミスコンの頂点を目指すため、人間としての優しさや思いやりをすべて捨て去る。十代で間違って妊娠してしまった時も、生まれた子供を親友のルビーに押しつけて、自分は素知らぬ顔でミスコンの頂点を目指し続ける。彼女の取り柄はその執念と根性だけ。そしていよいよ、彼女の願いが報われる日がやってくる。

 オスカー女優サリー・フィールドの初監督作品。モナの娘ヴァネッサを演じるのは、『ポーリー』『アンドリューNDR114』の名子役ハリー・ケイト・アイゼンバーグ。親友ルビー役は『チェイシング・エイミー』のジョーイ・ローレン・アダムス。モナの秘密を暴こうとするTVレポーターに『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』のレスリー・ステファンソン、モデルスクールの校長にキャスリーン・ターナー、ミスコンのライバルたちに『TATARI/たたり』『ウェディング・プランナー』のブリジット・ウィルソンと「ビバリーヒルズ青春白書」のキャスリーン・ロバートソンなど、主要キャストはほとんどが女性ばかりという映画になっている。

 物語の結末はほぼ予想できるものだが、そこに至る筋立てがややギクシャクして見える。ほんの少し説明を補足すれば話がスムーズに流れるのにそれを怠っていたり、ドラマの焦点になっているのがその時点で何なのかわかりにくくなっている部分が多いのだ。でもこの映画、かなり面白い。それは主演のミニー・ドライヴァーによるところが多いのだ。この映画の彼女は、とっても素敵です。

(原題:Beautiful)

2001年晩秋公開予定 シネスイッチ銀座
配給:キネティック

(上映時間:1時間52分)

ホームページ:http://www.kinetique.co.jp/

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