ラッシュアワー2

2001/08/31 徳間ホール
ジャッキーとタッカーの凸凹コンビが香港とアメリカで大暴れ。
ジョン・ローンは久々の登場。今まで何してた? by K. Hattori

 ジャッキー・チェンとクリス・タッカー主演の大ヒット・コメディ映画『ラッシュアワー』の続編を、前作と同じスタッフ&キャストで映画化された。前作は香港の警官であるジャッキーがロサンゼルスに行くという話だったが、今回はその正反対の状況から始まる。休暇で香港にやってきたクリス・タッカーが、アメリカ大使館の爆破テロ事件に出くわし、再びジャッキーとコンビを組んで事件解決に向かうのだ。監督は前作に引き続いてブレット・ラトナー。エキゾチックな香港の風景に合わせてラロ・シフリンのテーマ曲が流れるオープニングは、それだけで燃える。まぁ『燃えよドラゴン』つながりなので、これだけで燃えてしまう人はそれなりの年齢ね。山の上から香港市街を見下ろすカットも含め、作り手の方も『燃えよドラゴン』を意識しているのでしょう。

 物語自体はどうということのない内容。偽ドル札の捜査をするシークレットサービスと、香港マフィアの対決というのが中心で、そこにリー捜査官と彼の父を殺したマフィアのボスの対立、潜入捜査官と名乗る謎めいた美女の存在、美しい女殺し屋の登場、そしてカーター捜査官との友情などがからんでいるが、物語自体はアクションシーンを持ち出すための口実や見せ場同士を繋ぐ役割を果たしているに過ぎない。これは話のアイデアや登場人物の設定がつまらないということではなく、映画が「アクションシーンの面白さを徹底的に追及する」ということに大きく比重をかけている結果、あえて物語のサスペンスやスリルを二の次にした結果だろう。ジャッキー・チェン主演の映画だからこういう演出になっても構わないのであって、これが別の俳優で同じ話を作れば、もう少し謎解きやサスペンスに比重をかけた映画になる。スター主演作はそのスターに合わせて話の細部や演出が大きく変化する。ジャッキーはそういうスターなのだ。

 舞台は香港からロスに移り、そこからさらにラスベガスへと移動する。この移動シーンをざっくりと省略してしまう手際がいい。カーターが香港に到着するシーンは省いて、映画の最初から彼は香港にいる。香港からロスへの移動は飛行機を使うが、そこからラスベガスへ移動するシーンは巧みに省略してしまう。こうした手際のよさが、映画のテンポをよくしているのだ。上映時間は1時間半。その間は見せ場の連続だが、『ハムナプトラ2』のように強引に観客を驚かせるようなものはなく、アクションシーンの組み立てとバリエーションで見せる。

 今回は殺し屋役で『初恋のきた道』のチャン・ツィイーが出演しているのが見どころ。アクションは『グリーン・デスティニー』をかなり意識しているようだ。ジャッキーとの直接対決が少ないのは残念。脇役もすごく豪華。ドン・チードルがあんな脇役だもんなぁ。映画を観ていると、香港が舞台のシーンも一部はハリウッドのスタジオで撮影しているらしいことがわかる。あるいはこうした演出がハリウッド流なのか。最後のNGシーンは面白いが、たぶん半分ぐらいはヤラセだろうね。

(原題:RUSH HOUR 2)

2001年9月22日公開予定 丸の内ルーブル他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス、松竹 配給協力:アルゼ
(上映時間:1時間30分)

ホームページ:http://www.rushhour2.net/

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