レジョネア
戦場の狼たち

2001/04/19 東映第2試写室
ジャン=クロード・ヴァン・ダムがフランス外人部隊に入隊。
筋も演出もオーソドックスすぎて新鮮味なし。by K. Hattori


 ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の外人部隊もの。砂漠でのロケーション撮影や実物大の砦のセット、騎馬のアラブ兵たちが集団で疾走する勇壮な戦闘シーンなど、見せ場は多いが最後までピリッとしな映画だった。監督は『ランボー3/怒りのアフガン』のピーター・マクドナルド。脚本は監督としても知られるシェルドン・レティック。物語の舞台は1920年代の北アフリカ。植民地で起きた原住民の叛乱に手を焼いているフランスだったが、相次ぐ増援も虚しく各地の砦は次々に陥落していく。主人公アランはギャングとの対立で命を狙われ、逃げ込むようにフランス外人部隊に入隊する。彼が送られた先はやはり北アフリカ。迫り来る死から逃れるために入隊した軍隊だったが、彼はやがて自分が、さらに大きな危険の真っ只中に飛び込んでしまったことを知る。

 ヴァン・ダムは鍛え抜かれた肉体を誇示したマーシャルアーツを売りにしているアクション俳優だが、この映画では序盤にボクシングのシーンが少しある程度で、中盤以降は銃器を使った戦闘シーンになる。ボクサー稼業を続けながらもアメリカへの移住を夢見、ギャングの情婦になっている元恋人と駆け落ちを試みて失敗するという役柄はヴァン・ダムが演じてもいいけど、むしろもっと若い俳優が演じるべきだったのではなかろうか。

 ヴァン・ダムがいかに体を鍛えようと、彼が既に中年のオヤジ世代に差し掛かっていることは隠しようがない。あと10歳若ければ、このキャラクターはもっと生きてくる。予算や撮影の規模が大きな映画なので、主演に名の知れたスター俳優を持ってきたかったのだろうが、それにしたってヴァン・ダムはミスキャストだと思う。この男が主役だと、どんな危機に陥ってもどこかで態度に余裕を感じてしまう。アクションスターが年齢を重ねてきたことで、動きの少ない役に転身を図ろうとするのはわかる。でもこの映画のヴァン・ダムは、ちょっと方向が間違っていると思う。映画を観ながら「なんでヴァン・ダムなんだろう」と思っていたのですが、たぶん本人もそれは十分に自覚していたんじゃないだろうか。この後彼は、『ヴァン・ダムINコヨーテ』や『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』で、いつものヴァン・ダム流キャラクターに戻っている。

 物語はきわめてオーソドックス。それぞれの夢や過去の経緯を抱えて外人部隊に入ってきた男たちが、互いの利害を超えて信頼と友情を築き上げていく物語。演出もきわめてオーソドックス。残念ながら新鮮味はあまり感じられなかった。大がかりな戦闘シーンには迫力があるが、観ている方は「どうせヴァン・ダムは生き残る」と思っているから手に汗握るスリルが生まれない。脚本に数々の見せ場は作ってあるはずなのだが、演出は「オーソドックス」を越えるものが何もない。実物大の砦を作ってバラバラに吹き飛ばしてしまうような贅沢をしているのに、その贅沢が物語の中でちっとも生かされていないのは残念。もうちょっと何とかならなかったのかなぁ。

(原題:Legionnaire)

2001年6月9日公開予定 銀座シネパトス、新宿東映パラス2,大阪シネフェスタ
配給・問い合わせ:コムストック
ホームページ:http://www.comstock.co.jp/


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