《2001春・東映アニメフェア》

2001/02/26 東映第1試写室
『デジモンアドベンチャー02』と『ワンピース』の2本立て。
オマケも1本付いて水準以上の出来。by K. Hattori


 東映の興行を支えるドル箱番組《東映アニメフェア》の新番組。昨年春と同じ『デジモンアドベンチャー』と『ワンピース』の2本立てだが、昨年はこの番組で20億を越える興収を上げている。これは東映の昨年の番組の中では、『バトル・ロワイアル』の30億に次ぐ好成績。こういう話が出ると心ある映画ファンは「日本映画は子供だましのアニメばかりが受けている」と顔をしかめるかもしれないが、こうしたアニメ作品がそんじょそこいらの邦画作品よりはるかに面白いのもまた事実。実際に映画を観てみれば、「面白い作品がヒットしている」という事実にむしろ安心するのではないだろうか。

 今回上映されるのは、『デジモンアドベンチャー02/ディアボロモンの逆襲』と『ワンピース/ねじまき島の冒険』の2本がメイン。それに『ワンピース』の番外編『ワンピース/ジャンゴのダンスカーニバル』という短編が併映になる。『ダンスカーニバル』はお尋ね者のジャンゴがミラーボールアイランドの祭で島の人たち全員に催眠術をかけ、登場人物全員が音楽に合わせて踊りまくるというショートショート。

 『ディアボロモンの逆襲』は昨年春に公開された『ぼくらのウォーゲーム!』の続編。ネットワークの中で生き延びたディアボロモンがクラモンという小さなモンスターを大量増殖させて現実世界に入り込み、最後はレインボーブリッジで巨大モンスター同士の大バトルが行われるという内容。モバイルパソコンや携帯電話を使ったネットワークの緻密でリアルな描写は相変わらずで、ボレロのリズムに合わせて物語が盛り上がっていくのもいつも通り。渋谷やお台場といった東京のロケーションを巧みに盛り込みつつ、現実にはあり得ない大嘘をついてみせる。見慣れた風景の中で巨大モンスターが戦うという展開は、この『デジモン』の劇場版1作目を思い出すし、『ゴジラ』や『ガメラ』などの怪獣映画も連想させる。それをアニメのスピーディーな動きと演出で描くのだから迫力満点。ただしこのシリーズ、回を追うごとに登場人物が増えていき、物語の焦点がぼけていくのは避けがたい。1作目の衝撃はもう味わえないのか……。この映画はCGの使い方がじつに上手い。今回は無数のクラモンがうごめく場面をCGで描いている。

 『ねじまき島の冒険』は今回のアニメフェアの中心になる作品。盗まれたゴーイングメリー号を追ってねじまき島にやってきたルフィたち一行が、島を根城にする海賊トランプ兄弟と戦うアクション・コメディだ。仲間のひとりナミを誘拐されたルフィたちは、数々の難関を突破しながらトランプ城の頂上を目指す。その間に次々と新しい敵が現れ、最後は城の最上階で敵の首領ベアキングと対決する『死亡遊戯』状態。「命をかけなきゃ未来は拓けない!」というメッセージが明快で、気持ちのいい映画になっている。ただしゲストキャラのボロードとアキースのデザインが、主人公たちのデザインとまるでタッチが違うのは玉に瑕だと思う。


2001年3月3日公開予定 全国東映系
配給:東映


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