ナッティ・プロフェッサー2
クランプ家の面々

2000/09/20 UIP試写室
エディ・マーフィが一人九役(?)を演じるコメディ映画。
ギャグが下ネタばかりなのにはげんなり。by K. Hattori


 究極のやせ薬を作った太っちょ大学教授を主人公にした爆笑コメディ『ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合』の続編。主演はもちろんエディ・マーフィ。前作はジェリー・ルイス主演の『底抜け大学教授』のリメイクで、さらにネタのルーツをたどればスティーブンソンの「ジキル博士とハイド氏」にまでたどり着く二重人格をテーマにした物語。

 今回の映画でも話の発端はクランプ教授の二重人格にある。自らの分身バディ・ラブを克服したはずのクランプ教授だったが、バディはクランプ教授の身体を乗っ取る機会を虎視眈々と狙っている気配が濃厚。しばしばクランプの身体や口を乗っ取って、卑わいな言葉をしゃべらせたりするイタズラを繰り返す。業を煮やしたクランプは、遺伝子分離装置で自らの身体からバディの因子を追い出すが、それが犬のDNAと結合してバディ・ラブが実体化してしまう。前回やせ薬を作っていたクランプ教授が今回挑むのは、誰もが夢見てきた若返りの妙薬。すでに薬は試作段階に入っていて、一時的に被験者を若返らせることができる。この研究に目を付けた製薬会社は、研究に莫大な資金を提供しようと申し出る。だがこれをバディ・ラブがかぎつけて、クランプ教授から薬品のサンプルを盗み出し、製薬会社に売り込もうとする。

 前作ではクランプ教授とバディ・ラブの他、全部で7役を特殊メイクで演じ分けたエディ・マーフィだが、今回はそれを上回る9役に挑戦したという。一応、前作と同じ7役に1役増えているのは確認したけれど、もう1役がなんだかわからない。前作では物語の中のアクセントとして登場したクランプ一家が、今回は全編出ずっぱり。リック・ベイカーのメイクは見事だし、家族全員のキャラクターを演じ分けるエディ・マーフィの演技力も確かなもの。今回はバディ・ラブの登場シーンが前作以上に少なくて、全体の比率の中では数パーセントにも満たないと思う。つまりエディ・マーフィはほぼすべての場面で特殊メイクをしている。今回の映画の見どころは、この特殊メイクだけと言ってもいい。

 僕は前作が大好きだったんだけど、それは主人公のコンプレックスに共感できたし、二重人格を特殊メイクの一人二役で演じ分けるという物語の骨格がシンプルで、ギャグも下品にならなかったから。しかし今回はクランプ教授とバディ・ラブの関係が弱いし、クランプ一家の人数が多すぎて話にまとまりがない。しかもギャグもひたすら下品。おなら、げっぷ、セックス、ウンコなど、ひたすら下ネタなのです。主役のクランプ教授は紳士だから、こうした下ネタにいつも困った顔。映画を観ているこちらも、一緒になって困った顔をするしかない。

 見せ場の特殊メイクも、合成で同じ画面に何人かが登場することは少なく、カットとスタンドインで会話シーンを作っているところがほとんど。台詞の場面でかならずその人物のアップ。しかしこればかりが続くとカメラの動きが単調になり、観ている方としてはひどく疲れる。

(原題:NUTTY PROFESSOR II / THE KLUMPS)


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