最終絶叫計画

2000/08/10 渋谷東急(完成披露試写)
『スクリーム』『ラストサマー』などを徹底的にパロったコメディ映画。
映画を観ている人ほど笑えます。楽しかった。by K. Hattori


 『スクリーム』『ラストサマー』など最近の青春ホラー映画をパロディにして、本国アメリカで大ヒットしたコメディ映画。基本的なストーリーは『スクリーム』を踏襲しているので、他の映画はさておきせめて『スクリーム』を事前に観ておく必要がある。日本版では冒頭にある有名映画からの引用があっていきなり笑わせてくれるのだが、これは日本だけのものなんでしょうか……。映画本編の冒頭には『スクリーム』でお馴染みディメンション・フィルムズのロゴが現れ、そこから電話のベルが鳴って『スクリーム』と同じ女学生斬殺事件が描かれる。このくだりは『スクリーム2』で既にパロディにされているので中途半端な引用では笑えないのだが、ここではさらに描写をエスカレートさせて観客に大受け。僕も「こんなもんかなぁ」と思いながらボンヤリと映画を観てましたが、スプリンクラーでさすがに笑った。

 この映画が成功しているのは、有名な青春ホラー映画を次々に引用して笑わせる一方で、映画の中に下ネタをたっぷり詰め込み、全体としては『アメリカン・パイ』のようなセックス・コメディにしていること。(『アメリカン・パイ』でセクシー留学生を演じたシャノン・エリザベスが、本作にも尻軽な女学生役で出演している。)オリジナルの『スクリーム』自体がさまざまな映画を引用することで成り立っていたため、映画を引用するだけではコメディにならず、単なる『スクリーム』の模倣作品に成り下がる可能性があったと思う。この映画ではギャグの方向性をひたすら下半身に持っていくことで、映画としての統一感を出している。

 映画の中ではウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』も引用されていたが、この映画を作ったのもウェイアンズという三兄弟。監督はキーナン・アイボリー・ウェイアンズで、共同脚本はショーン・ウェイアンズとマーロン・ウェイアンズ。後の二人は映画の中に重要な役で出演している。監督のキーナン・アイボリー・ウェイアンズは『グリマーマン』でスティーブン・セガールの相棒刑事を演じ、『クロスゲージ』で狙撃の名手をシリアスに演じた黒人スター。どうせなら今回も、図々しく重要な役で出演すればよかったのに……。

 今回の完成披露試写会では、プレスと同時にポップコーンの小袋を配っていた。映画の前にポップコーンをぽりぽりかじるなんて、まったく久しぶり。結構これはいいもんですね。ただしのどは渇く。映画の中には映画の鑑賞マナーにまつわるシークエンスもあって、このくだりは映画ファンに大いに共感されるんじゃないだろうか。観ている映画がなぜか『恋に落ちたシェイクスピア』(本物)というのも面白い。

 映画の引用といえば、この映画では本家『スクリーム』の名前も堂々と出てくる。「一連の事件は『スクリーム』のままだ!」と登場人物の一人が言い出したときには驚きましたが、彼が映画の結末を覚えていない理由というのも、いかにも現代のアメリカです。

(原題:SCARY MOVIE)


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