MICHAEL JORDAN TO THE MAX

2000/07/13 東京アイマックス・シアター
人気バスケットボール選手マイケル・ジョーダンのすべて。
巨大スクリーンで彼の神業プレイを堪能する。by K. Hattori


 バスケットボール・ファンならずとも名前を知っている20世紀スポーツ界が生みだしたスーパースター、マイケル・ジョーダンについてのドキュメンタリー映画。しかしこれは単なるドキュメンタリーではない。アイマックスの大画面用に製作されたドキュメンタリーである。アイマックスを一言で表現すれば、それは「大画面の見世物映像」と言うに尽きる。この映画はアイマックスの巨大な画面の中で、ジョーダンの華麗なプレイがたっぷりと楽しめるという趣向だ。もちろん本人や関係者のインタビューもあるが、そうした映像はこの映画を「ドキュメンタリー映画」らしい体裁に仕上げるためのツナギにすぎない。メインはあくまでもジョーダンの神業のようなボールさばきや、奇跡のように滞空時間の長いダンクシュートにある。合間のインタビューは、ハンバーグの中に入っているパン粉みたいなものです。それによって全体がまとまって、ふっくらと仕上がる。

 アイマックスの映画は基本的に現地の言葉に吹き替えられている物ですが、今回は5月から全米のアイマックス・シアターで公開されているこの作品をいち早く紹介する「英語版」のままでの試写でした。もちろん字幕も入っていません。僕は映画の中で何が話されているのかチンプンカンプン。このあたりは、いずれ完成する日本語版を観ればよくわかると思いますが……。

 映画の見どころは、マイケル・ジョーダンの試合ぶりを大きなスクリーンで四方八方から観られるところ。ただでさえ滞空時間の長いジョーダンのダンクシュートをハイスピード撮影することで、その空中姿勢はまるで宇宙遊泳を楽しむ宇宙飛行士のように見える。ジョーダンのすごさは、高くジャンプできることだけではない。たぶんジャンプ力だけなら、他にもジョーダンに負けない脚力を持つ選手はいるだろう。ジョーダンが他の選手とまったく違うのは、床から足が離れた後も、自由自在に空中で姿勢を変えられるところにあることが、この映画を観ているととてもよくわかる。ディフェンスの選手たちは、ジョーダンがジャンプすれば同時にジャンプしてシュートを阻もうとする。だがジョーダンは空中で身体が伸びきってもボールを手から離さない。空中の最高位置から落下姿勢に入り、他の選手たちがまったく無防備になった瞬間、その間隙を付いてシュートを放つ。これではディフェンスの選手は何もできない。

 試合を離れてしまえばとても紳士に見えるマイケル・ジョーダンが、試合中に見せる荒々しい表情や挑発的な仕草。そのギャップの大きさが、バスケットボールというスポーツの激しさと、ジョーダンという人物の幅の広さを感じさせる。この映画の中には、試合中のジョーダンの他、彼が出演したCMや、子供向けのバスケット教室で彼が見せるくつろいだ表情なども収録されており、ジョーダンの人間性が観客に伝わるようになっている。

 ジョーダンは『スペース・ジャム!』に主演しているんだけど、それはまったく無視されてたなぁ……。

(原題:MICHAEL JORDAN TO THE MAX)


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