ゴンゾ宇宙に帰る

2000/05/19 SPE試写室
新作のマペット映画だが、このタイトルじゃ意味不明だ。
大人たちの真剣な悪ふざけぶりに感激。by K. Hattori


 ジム・ヘンソンが生みだした“マペット”たちの主演映画は、1979年の『マペット・ムービー』から今までに5本が作られている。そのほとんどは日本では劇場未公開。'92年に『マペットのクリスマス・キャロル』が公開されているようだが、僕はまったく記憶にない。僕がジム・ヘンソンと聞いて思い出すのは、'82年に彼がフランク・オズと共同監督したファンタジー映画『ダーク・クリスタル』。これもマペットの映画なんだけど、「セサミ・ストリート」や「マペット・ショー」系のカラフルなぬいぐるみではなく、もっと手の込んだリアルな造形でびっくりするような異世界を作り上げていました。(この映画、アメリカじゃDVDが出てます。う〜む。やはり海外仕様のDVDプレイヤーを買うべきか。でもお金がないしなぁ……。うらやましい。)ジム・ヘンソンは90年に亡くなりますが、その後も彼の遺志は受け継がれて今に至っている。そんな最新のマペット映画が、『ゴンゾ宇宙に帰る』なのです。これは原題からもわかるように、「マペット・ショー」系の映画。

 マペットの下宿屋で暮らすゴンゾは、地球に住むどんな動物にも似ていない。彼は夜ごとにノアの箱船から追い出される夢にうなされる。彼は正体不明の謎の生物だ。だがある日彼は、アルファベット・シリアルを使った「空を見ろ」というメッセージを受け取る。やがて彼は、自分は遠い星からやってきて迷子になった宇宙人であることを悟る。間もなく自分を迎えに、宇宙から家族がやってくるらしい。だがそんなゴンゾを、宇宙人脅威論者の政府高官が捕らえ、危険な宇宙人の存在証明として解剖しようとしていた。MIB(黒服の男たち)に捕まえられたゴンゾは、はたして秘密の施設を抜け出して家族と再会することができるのだろうか……。

 カーミットやミス・ピギーなど「セサミ・ストリート」でもお馴染みのマペットたちが数多く登場するほか、ゲストスターも豪華な顔ぶれ。冒頭でいきなりオスカー俳優のF・マーリー・エイブラハムがノアの役で登場したのを皮切りに、テレビ・レポーター役のアンディ・マクダウェル、マッド・サイエンティスト役のデイビッド・アークエット、史上最強のMIBハルク・ホーガン、研究施設の看守役ではレイ・リオッタが登場する。

 話の流れはつい先日観た『ティガー・ムービー/プーさんの贈りもの』とまったく同じ。でもどちらが面白いかといえば、断然『ゴンゾ宇宙に帰る』だと思う。人間とキャラクターものの共演ということでは、同じ試写室で観た『スチュアート・リトル』ともつい比較してしまうんだけど、やっぱり『ゴンゾ』の方が圧倒的に面白い。人間とマペットたちの馴染みもいいし、何よりも出演している俳優たちがマペットとの共演を楽しんでいる感じがする。ミス・ピギーとMIBのカンフー対決にも笑ったし、アンディ・マクダウェルがピギーと取っ組み合いを演じる珍場面も登場。マペットと人間がまったく対等で、少しも互いに遠慮がないのが観ていて気持ちいい。

(原題:MUPPETS FROM SPACE)


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