エイリアン・アドベンチャー

2000/04/27 東京アイマックスシアター
地球にやってきたエイリアンが遊園地で見たものは?
大型3D映像によるライド4本立て。by K. Hattori


 アイマックスシアターで上映される大型3D映画。3D映画の歩みについてのドキュメンタリー『エンカウンター3D』のスタッフが、今度は純粋な映像ショーを作り出している。フルCGの立体映像はさすがにクオリティが高いし、ピンぼけなしのシャープな画面は頭痛とも無縁。しかし中身が「ライド体感」の4本立てというのではあまりにも芸がない。ライド映画というのは、ようするにジェットコースターに積み込んだ固定カメラで、コースを突っ走るような映像のこと。今回の『エイリアン・アドベンチャー』は、確かにライド映画としてはよくできていると思うけれど、趣向が少しずつ違っているとはいえ同じようなものを4本立て続けに観せられたのでは少し飽きる。『エンカウンター3D』にも地球を突き抜けるライド場面があって、それはそれで面白かったけど、あれは1回きりの面白さだと思う。同じことを何度も何度もやれば、そりゃあ飽きますともさ。

 新たな移民先を探して地球を訪れたエイリアンが、たまたま着陸した場所は開園間際の遊園地。そこにはCGを使った4つのバーチャル・コースターがあった。エイリアンたちはそうとも知らず、そのコースターに乗り込んでしまう。そこでエイリアンたちが体験したものは……といった内容。でもこの映画では話なんてどうだっていいのです。目玉は4種類のライド映像でしょう。

 登場するライド映像は4種類。南極の氷の上を作業車がボブスレーのように疾走する「ARCTIC ADVENTURE」。さらわれたお姫様を魔法の絨毯に乗って助け出す「MAGIC CARPET」。さまざまなオモチャが散らかる巨大な子供部屋の中を、オモチャのコースターに乗った気分で突っ走る「KID COASTER」。最後は海の中を小型の潜水艇で走り回る「AQUADVENTURE」。僕は最初の「ARCTIC ADVENTURE」にこそクラクラしましたが、あとは同工異曲であまり楽しめなかった。これは必ずしも「ARCTIC ADVENTURE」が最高で、残りがつまらないということを意味しているわけではない。どれが最初に来ていようと、似たような映像を2度も3度も、ましてや4度も観せられたら、最初の衝撃や刺激はなくなってしまうだろう。

 『エンカウンター3D』の面白さは、「3D映画の歴史を3Dで見せる」というアイデアにあったと思う。それに比べると今回のライド4連発は、いかにも企画として安易すぎる。アイマックスなんて見せ物小屋と同じなんだからこれでもいいという考え方もあるだろうけど、せっかく映画にするなら、もう少しお話に工夫してヒネリを与えてほしかった。宇宙船から遊園地に降り立ったエイリアンたちが、4組に分かれて4種類のコースターに乗って戻ってくるだけでは、何の芸もオチもないではないか。こんな話ならエイリアンが登場するまでもない。せっかく間抜けなエイリアンを登場させるなら、彼らの間抜けぶりを端的にあらわすようなオチを用意してほしい。そこで笑わせる必要はないけれど、物語のオチは食後のデザートと同じ。それで充実感がだいぶ違います。

(原題:ALIEN ADVENTURE)


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