《2000年東映アニメフェア》

2000/02/28 東映第2試写室
『ONE PIECE』と『デジモン・アドベンチャー』の2本立て。
僕は『デジモン』に燃えました! by K. Hattori


 春休みの子供向けアニメ2本立て。どちらもTV放送しているアニメ番組の劇場版だが、ストーリーそのものはTVとつながりがないので映画だけでも楽しめる。今回の作品は、少年ジャンプで連載されている海賊コミック『ONE PIECE』の番外編と、ゲームと連動したアニメ番組『デジモン・アドベンチャー』の番外編「ぼくらのウォーゲーム!」。正直言って、僕は「ONE PIECE」で少し眠くなってしまいましたが、『デジモン』は燃えたぜ。『デジモン』は劇場1作目の衝撃が強かったので、今回は少しマイルドになっている気もしますが、今回もとんでもなく面白いぞ。『マトリックス』も真っ青。

 『ONE PIECE』は伝説の海賊ウーナンが孤島に隠したという莫大な財宝を、海賊王を目指すルフィと仲間たちが探すという冒険物語。剣豪ゾロ、泥棒のナミ、ウソップといった仲間たちのキャラクターも面白い。今回のゲストは、海賊ウーナンにあこがれるトビオ少年と、その祖父でおでん屋を営む岩蔵。ウーナンのお宝を狙う絵に描いたような悪役、海賊エルドラゴの凶暴さも強烈なスパイスになっている。物語のテーマは「男の友情」と「男のロマン」だったりして、きわめて単純。それでいてアニメならではの荒唐無稽なアクションシーンが連発し、観ていて思わず笑ってしまう場面もある娯楽編。まぁ、そこそこは退屈せずに観られます。僕が寝ちゃいそうになったのは、単に昼食の後だったからだと思う。

 『デジモン・アドベンチャー/ぼくらのウォーゲーム!』は、コンピュータ・ネットワークの中に生まれた新種のデジモンがネットの中のデータを食いまくり、世界中のコンピュータが誤作動しはじめるという物語。西暦2千年問題は結局何事もなく終わったけれど、この新種デジモンによって、それ以上の被害が世界中に起きてしまう。電話回線はパンクし、ネットワークはマヒ状態。電車は運行をストップし、家庭電化製品は誤作動し、遊園地の観覧車は猛スピードで回転し、飛行機の計器も正常な数値を表示しなくなる。最後にはペンタゴンのコンピュータが誤作動して、核ミサイルが発射される始末。これがすべて、ネットワークの中の目に見えない「モンスター」のせいなのです。日本映画でここまで本格的にネットワークの危機を扱ったものは初めてだと思う。

 デジモンそのものが荒唐無稽な設定なのですが、この映画では、インターネット、ISDN、ノートパソコン、携帯端末、携帯電話、衛星電話、マイクロソフトのインターネット関連ソフトなど、ネットワーカーならお馴染みのアイテムが次々に登場。NTTやBIGLOBEなどの企業も実名で登場して、物語に迫真のリアリティを生み出している。絶対にあり得ない話を、細々とした日常の小道具で埋め尽くすことで、「ひょっとしたらこんなことがあるかも」と思わせるのは上手い。

 線の省略をうまく処理したイラスト風の絵柄や、中間色を多用した色彩感覚が新鮮。ボレロを基調とした音楽も、物語のスリルをどんどん盛り上げていく。最高!


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